
どの業界にも特有の言葉があり、撮影業界にも一般とは異なる業界用語が多数あります。撮影現場ではカメラマンやクライアントが業界用語を使って指示をすることが良くあり、日常でよく使われている言葉も全く違う意味で使われていたりします。用語を理解していると撮影現場での行動がとてもスムーズになりますので、撮影の仕事に携わりたい方は是非知っておくと良いでしょう。今回は、撮影現場でよく使われる専門用語について、撮影現場の内容を合わせて一部をご紹介します。
目次
1、人物撮影のフレーミング用語
1-1 全身ショット
1-2 ニーショット
1-4 バストアップショット
1-5 クローズアップショット
2、光の当て方を表す用語
2-1 順光
2-2 斜光(サイド光)
2-3 逆光
2-4 キャッチライト
3、現場の環境を表す用語
3-1 バミリ
3-2 上手(かみて)下手(しもて)
3-3 わらう
3-4 なめる
まとめ
1、人物撮影のフレーミング用語
撮影中に、カメラマンから体のどこからどこまでを撮影をしているか、専門用語で言われることがあります。だいたい5つに分類され、名称を知っておくと被写体はポージングの変化が付けやすくなります。
1-1 全身ショット
頭のてっぺんから手足の先まで全身が入った画角を指します。全身コーディネート・被写体のスタイルやポージングを見せることが出来るため、トータルファッションを見せたい場合に用いられます。ECサイトのアパレル撮影や、背景を入れた人物撮影で多く使われるアングルです。
1-2 ニーショット
頭から膝までの写りのことを言います。膝で切れますが太ももは少々映り込みがありますので、表情を見せつつ容姿や動きを見せることができるアングルです。風景も写るので被写体と一緒にバランス良く映るイメージになります。またニーショットは1人の被写体だけではなく、複数人の被写体を同時に写すアングルとしても多く使われます。洋服が中心の、ファッションを見せたい場合に使われることが多い撮影方法です。
1-3 ウエストショット
頭から腰までのアングルのことです。足は全く映らず、主に上半身を見せることが出来ますので、表情と洋服のコーディネートがバランスよく写る定番のフレーミングです。ウエストショットを撮られるときは、ウエストのくびれまで写っていることを意識すると良いでしょう。表情はもちろんのこと洋服等もしっかり映るため、人物の印象が良く伝わります。ポートレート撮影の基本構図のひとつです。
1-4 バストアップショット
頭から胸までの写りです。表情がメインになりますので、被写体の雰囲気を引き出す効果的なショットになります。顔の近くにあるものと一緒に表現したり、表情を細かく伝えたりすることが出来るので、飲料水や食品・求人関係の撮影で多く使われます。対話をしているような距離感になるため、表情を見せたいときに最適であり親近感を湧かせやすいアングルです。ヘアサロンやアクセサリーなどの撮影でも使われます。
1-5 クローズアップショット
被写体の顔をフレームいっぱいに入れるショットです。俗に「どアップ」と言われる写りです。被写体の表情や肌の質感を最大限に強調することができますので、コスメ商品やリラクゼーション系などに良く用いられます。また、目線を外すことで感情移入させるようなイメージの表現もできます。
2、光の当て方を表す用語
2-1 順光
カメラを構えた時、背後に光があり、被写体には真正面から光が当たっている状態のことです。影は被写体の背後になることで明暗差が出づらく立体感がなくなるので、記録的としての撮影や商品撮影で使われる方法です。影を付けない光の当て方なので色や形をはっきりと表現できるため、全体的にくっきりはっきり見せたい場合は、この順光撮影が向いています。また白飛びや黒つぶれの心配も少ないため、海や空の青色を綺麗に写したい場合にも有効な光の当て方です。
2-2 斜光(サイド光)
被写体の真横から光が当たる状態のことです。真横からの光は被写体にくっきり影を付けるので、立体感や力強さを表現したい時に使われるライティングです。被写体の左右どちらか片側に影ができるので、ドラマチックな雰囲気が出しやすい光になります。また、光が横から当たることで影がきれいに伸びるので、自然な立体感を作り出すことが出来ます。明暗がしっかりと出たメリハリのあるパキッとした雰囲気を出したい撮影におすすめで、立体感を演出したい商品撮影に使われることも多い方法です。
2-3 逆光
逆光とは被写体の後ろから光が当たっている状態です。順光や斜光に比べて被写体は暗くなりますが、実は人物が一番美しく見えるライティング方法は、この逆光とも言えます。逆光で撮影することで優しいふんわりとした雰囲気になり、まるで雑誌のようなオシャレな写真が撮れます。可愛らしく撮りたい子どもの写真や、オシャレに撮りたい人物撮影にぴったりです。
2-4 キャッチライト
目に瞳に映りこんだ光、白い輝きのことをいいます。ストロボ・レフ板・太陽などを使って光を目に反射させて写し込ませる撮影テクニックです。人物撮影時にキャッチライトを入れることで目が印象的になり、生き生きとした表情の写真を撮ることができます。逆にキャッチライトが入っていないと、どこか暗そうに見えたり、生気が無いように見えたりしてしまいます。プロカメラマンが撮影する人物写真にはほぼキャッチライトが入っており、大抵の場合は意図的に入れられています。
3、現場の環境を表す用語
3-1 バミリ
撮影現場の床に貼られた被写体が立つ位置と向き、カメラ・照明機材などを置く位置を示した目印のことです。「場見る」という動詞から派生した名詞です。色のついたテープをT字やL字にして印として床に貼りますが、そもそも目立ってはいけないものなので、床に近い色のテープを使い目立ちにくくしていることが多いです。大掛かりな撮影現場になるほど、床にバミリが貼ってあることが多いのでチェックしてみて下さい。
3-2 上手(かみて)下手(しもて)
カメラから見て右を上手(かみて)と言い、左を下手(しもて)と言います。カメラを正面にした場合、被写体からすると左右逆になり、被写体の左側が上手(かみて)、右側が下手(しもて)になるので指示された時に間違えないようにしましょう。また上手は上位(ポジティブ)の傾向、下手は下位(ネガティブ)の傾向をもちます。例えば、上司部下の2ショットの場合は上手に上司、下手に部下という並びにすると、相対的な地位関係の表現も出来ます。
3-3 わらう
撮影などの作業に邪魔なものを片付けたり移動させたりすることです。「そこの椅子を端にわらっといて」というように使います。語源は、置いてあるものを「取り払う→とっぱらう→わらう」と変化したとも言われています。「わらう」は道具を対象に使われる言葉で被写体に対しては使われません。被写体は「ハケる」という用語を使用します。
3-4 なめる
被写体の手前に人物や物の一部を画面に入れる構図の事です。主な被写体とカメラの間に物や人物をおいて奥行きのあるイメージを作りたいときに使われます。「なめショット」や「入れ込みショット」とも言います。画面の手前に何かを入れ込んで、その奥に主体たる被写体をとらえる撮影方法です。
まとめ
こうした業界用語に耳を傾けていくと、カメラマンやスタッフが現場でどんな工夫をしようとしているのかわかり、これまで以上に撮影現場が楽しく充実した機会になると思います。今回はごく一部をご紹介しましたが、撮影業界特有の用語はまだまだたくさんあります。是非、様々な撮影現場に関わって見て下さい。
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